立地は固定客づくりがしやすいといったが、漫然と来店を待っているだけでは固定客づくりとはいわない。 月に2、3回の来店ペースでも成り立つのは確かだが、一種の保険としての考え方だ。
成功するためには、こちらから打って出る積極的な対策が欠かせない。 たとえば、オマケのついた綴りチケットを販売する方法がある。
よく喫茶店などで、11枚綴りで10杯分の価格のチケットを販売しているが、あれと同じ考え方である。 サービスは1割程度で十分だ。
チケットを購入したお客は当然、来店頻度が高くなるし、頻繁に来店しているうちに自然と「行きつけのお店」という感じになっていくものなのだ。 オフィス街は同僚とのグループで来店するケースが大半だから、ひとりを固定客にするだけで3人、4人の固定客をつかむチャンスが広がることにも注目してほしい。
ラーメン店は本来、看板のラーメン一品目だけでも成り立つ業種だが、この立地ではメニューのバラエティー感ははずすわけにはいかない。 固定客商売に徹するにはまず、お客に飽きられないことが大切だからだ。
とくにオフィス街のランチのお客は、ローテーションで決まったお店を回っているために、一定の予算内での「選ぶ楽しさ」の要求度が非常に厳しい。 したがって、限られた品目数のなかで、メニューのバラエティー感をいかに表現していくかがポイントになる。
たとえば、3つのセットメニューのうち2つは日替わりにするくらいの配慮がほしい。 また、この立地はランチ客の獲得が雌雄を決するのだから、ランチメニューにこそ、最大限のお値打ち感を表現しなければならない。
この立地のお客は、お店選びの目が厳しい。 同じ価格だったら、おいしいお店か量がたっぷりのお店のどちらかを選ぶ。

中途半端なお店は支持されないのだ。 ラーメンが軽食ということを考えれば、味だけで勝負するのはむずかしい。
それなら思い切って、味とボリュームの両方を兼ね備えたお値打ち感を提供すべきである。 客席回転がよく客数も稼げるのだから、ここは薄利多売で売上高を確保する作戦が有効である。
夜の営業では、ラーメンとギョーザだけでは弱い。 中国小皿家庭料理のような、ちょっとしたつまみになるメニューをあるていど揃えて、アルコールの売れるお店にすることだ。
といっても、本格的な料理は必要ない。 自分でつくれる範囲内のメニューで十分で、職人を雇う必要まではないということだ。
仕事の帰りに軽く飲めるお店として利用してもらえればいいのである。 最後にラーメンが食べられるというのは、大きな武器になる。
商店街は個人経営の生業店の代表的な立地である。 たいていの商店街では、飲食店はもちろんのこと、肉屋、魚屋、八百屋、パン屋など、ほとんどの業種のお店が出揃っている。
古い商店街なら、豆腐屋とか乾物.総菜店なども軒を並べている。 どういうことを意味しているのかというと、主として地元客で成り立つ立地だということだ。

当然、地域密着型の商売が求められる。 たとえば、商店街の代表的なものは駅前商店街である。
とくに私鉄沿線の駅前には、必ず商店街があり、当たり前の風景になっている。 駅とその奥に広がる住宅地とを結んで、生活必需品を供給する役目を果たしているわけだ。
いうまでもなく飲食店の商品、ラーメンもまた、生活必需品のひとつである。 だから、昼時や夕方から夜にかけての時間帯には、たくさんの通行人で混雑する。
人が集まるという点では繁華街に似ているが、この立地の客層は繁華街とはかなり違っている。 近くに会社の事業所などがあれば、そこに勤めるサラリーマンやOLがいるわけだが、それだけでなく、その会社に用のある人たちも集まってくる。
後背の住宅地を市場とするセールスマンたちも集まるが、一般にそういう客層はごく一部であって、ほとんどの人たちは地元の住人とみなして間違いないだろう。 したがって、商圏は意外と狭い。
一般には1キロから2キロ程度とされている。 バス便があればもう少し伸びることもあるが、せいぜいこれくらいと考えたほうが無難である。
地域密着型の商法が大事というのは、そのためである。 地域密着型の商法ということは、「地元では敵はつくらない」ということでもある。
ここでは、地元商店会とのつき合い方の具体例を挙げてみよう。 たとえば、いまはだれもが行動的になっていて、行動半径が非常に広くなっている。
昔ならよほどのことがない限り、地元商店街で飲食、買い物をすませていたのが、いまはそうでもなくなっている。 主婦たちも電車に乗って遠くの繁華街まで、気軽に出かけていく時代だ。

そのため、多くの商店街で地盤沈下現象が起こっている。 自店の繁盛以前の問題として、商店街自体をいかに活性化させていくかが大事なテーマになっている。
つまり、商店会としての共存共栄である。 そこで、近所のお店と協力して、お互いのお店のサービス券などを置き合う、といったケースが出ている。
ふつうは飲食店どうしというのはむずかしいが、物販店なら比較的やりやすい。 できれば、本屋とか美容院、ブティックといった固定客比率の高いお店だとより効果的である。
ポイントは、サービス券はそのお店のサービスとして使ってもらうという割り切りだ。 それなら他店のサービス券を置いても、自店としてのメリットが出てくる。
お客としても、他のお店でもらったのだから、という「言い訳」がついているから、サービス券を使いやすい。 ラーメン店はとくに、気軽な利用動機をすくい取る業態だから、こういう販促は効果的といえよう。

商店街はまた、ハンバーガーなどのファーストフードショップの適合立地でもある。 このことは、ラーメン店にとっては大きな意味を持っている。
いま、ラーメン店の利用動機は軽いといったが、いま、そういうニーズの取り込みをほしいままにしているのが、ほかならないファーストフードショップだからである。 ラーメン1杯の価格を500円として考えてみよう。
最近のファーストフードショップの価格破壊についてはいうまでもないだろうが、そこで打ち出されている価格と比べて、ラーメンは高いのだろうか。 それともずっとお値打ちといえるのだろうか。
問題はここだ。 一般にラーメン店は、ラーメンの好きなお客が来てくれる、と考えているが、実際にはそうでもなかったりする。
逆に、とくにラーメンでなくてもいいのだが、ラーメンなら安上がりだから、というお客もけっこういるものだ。 つまり、ラーメンはつねに、ハンバーガーやフライドチキンなどと比較されているのである。
実際、ファーストフードショップのほうは、そういう同業態他業種の商品を念頭に置いたうえで、思い切った価格破壊に踏み切っているのである。 けっして同業種間だけの価格競争ではないということだ。
ラーメン店がそれに対抗するにはまず、強力な個性とお値打ち感のあるラーメンを持つことだ。 その自信がない場合は、思い切った低価格政策に徹することである。
この立地で、平凡な商品で中途半端な値づけをすることは、ラーメン店にとっては自殺行為に等しいのはたとえば、商店街ではごく近くにラーメン店があるケースが少なくない。 極端な場合、2店のラーメン店が軒を並べていることもある。

その場合、お客はどちらのお店を利用しようかと迷っていると思うのは、お店側の論理でしかない。

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